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抗重力筋と姿勢前回は重力と姿勢について説明しました。
地球上で生きていくには、重力を避けることはできません。
水中で生きていくか、、、羽を生やすか、、、
そうする方には関係無いかもしれませんが、多くの方は、重力に打ち勝たなければなりません。
そこで身体を重力に対して支える働きをするのが、「抗重力筋」です。
この抗重力筋は、無意識的に重力に耐えて頭・背骨・骨盤・足の骨(太もも、すね)を真っ直ぐに保っています。
骨だけでは積み重なっていても安定性は少なく、それを補強して、支えるのが抗重力筋の役割なのです。
抗重力筋は、
背中側に『下腿三頭筋・ハムストリング・大殿筋・脊柱起立筋群・頚部伸筋群』 があります。
お腹側に『前脛骨筋・大腿四頭筋・腸腰筋・腹筋群・頚部屈筋群』 があります。
その中でも、主要な働きをする代表的な筋があり、それは、
『ヒラメ筋・大腿二頭筋長頭・脊柱起立筋群・頚部伸筋群』です。
立っている姿勢のときには体幹及び内臓の重みにより、身体は常に前方へ引っ張られる力が加わっています。
それを後ろから引っ張って支えるのがこの筋肉たちです。
これらはいわゆるアウターマッスルと呼ばれるような、浅層の筋です。
更に、抗重力筋にはもっと深層部で大事なインナーマッスルといわれている筋肉があります。
インナーマッスルは骨の一番近くにあり、しっかりと支えています。
背骨沿いには、『多裂筋・回旋筋群』があり、
お腹側の奥には『腹横筋・内外の腹斜筋』があり、
骨盤の底に『骨盤底筋群』があります。
これらのインナーマッスルは体幹といわれる、身体の胴体部分にあります。
また、体幹とよくいわれるのは、これに『横隔膜』を加えた、
4つの面で囲われている部分を言います。
その囲われている空間の内圧=腹腔内圧⇒腹圧と呼ばれ、
そこの圧力が高まっている状態のことを体幹が安定している、や、お腹が入っているということになります。
そして、姿勢を保つ為にはインナーマッスル・体幹とアウターマッスルが協調して働き、
それぞれ一つずつの機能が正しいことが不可欠となります。
どれかだけが強く、他が弱いでは姿勢を保つことが難しくなり、
負担が増え、どうかに支障が出てきます。
すべてがバランス良く、連携し協調することで姿勢維持を可能にします。
姿勢を保持するための筋肉は遅筋繊維が多い方が得意です。
重力に打ち勝ち、骨を支えるだけですから、そんなに大きな力も、素早く動く必要もありません。
大事なのは持続して力を発揮しておくことです。
そのため、
インナーマッスルの筋肉の構成は遅筋線維(TypeⅠ線維)といい、発揮できる力自体は弱いですが
持続的に働くことが得意な筋繊維の割合が多いです。
ヒラメ筋、脊柱起立筋群もこの遅筋繊維が多いといわれており、姿勢を保持することに向いています。
そして、これらの筋肉たちや骨・臓器をも包み込み、全身くまなく覆っているものに筋膜というものがあります。
筋肉を正しく動かすことには、この筋膜が柔軟に動くことが必要となります。
筋膜には浅い層と深い層や筋肉同士の間、筋肉を繋ぐようにも存在し、
全てが連動し働きます。
姿勢を保つためにはこの筋膜の張力が重要な役割を果たしており、
筋膜の張力のバランスがポイントになります。
不良姿勢や異常な運動パターンをしたときには、筋膜の張力が異常に高まり、
筋肉自体の収縮を引き起こします。
また、どこかの筋膜の張力が異常となると、反対側にある筋膜にも刺激が起きます。
そのことで姿勢代償が発生し、正しい姿勢維持を崩していきます。
この姿勢代償には筋膜の問題もありますが、他に、
神経系の要素もあります。
神経の反射の一つには姿勢反射があり、様々な反射が起こります。
姿勢を戻そうと体が反射によって反応を起こすのです。
そのことでも姿勢代償が発生してしまうこともあります。
姿勢の維持に関わる要因として、呼吸も大きいです。
呼吸をする際に呼吸筋が働きます。
呼吸筋には主に内・外肋間筋と横隔膜があり、それぞれが呼気、吸気時に働き、呼吸を行っています。
肋間筋は胸郭の安定性及び背骨の安定性に関わります。
横隔膜は先ほど説明した体幹に関わるものですから姿勢の維持と密接に関連します。
姿勢を保持するためには、抗重力筋・体幹・筋膜・神経系・呼吸といった様々な要素が複雑に関わってきます。
まだまだ他にも、精神的な要素や視覚的な要素、既往歴など多くのことが関わりますが、
自分にとって、何が原因になり、どうして姿勢が悪くなるのか、どうしたら良い姿勢を保持できるようになるのか
を解明していくことが大切です。
健康な生活のためにも姿勢に気を付けましょう。